ニベ弓ワークショップ:Chapter-0001「鹿皮を洗う」
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「にべ」をネットで検索すると、
・魚の浮き袋
・膠(にかわ)の一種
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●糊でいう「ニベ」・・・グチの浮き袋を煮詰め、ゼラチン質を固めたモノを、溶かし使用する。
●膠(にかわ)・・・牛や豚などの動物の骨の中の髄(脊髄など)を煮詰め、ゼラチン質を固めたモノを溶かし、
使用する。代表的なモノに「千本膠」「三千本膠」などがある。
●竹弓に使う「ニベ」・・・鹿の首の生皮を刻んで、煮詰め、ゼラチン質を固めたモノを溶かし、使用する。
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結局、ざっくり言うと、「接着剤」です・・・。
今の時代のように、セメダインやアロンアルファ、G17、木工用ボンドを代表とする、
合成接着剤が無い時代は、
動物の皮や髄を煮込み、一旦、ゼラチン質を作り固める。
その後、再度、固めたゼラチン質を溶かすと、ネバネバとした液状となり、天然の接着剤と
なります。
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柴田さんに伺ったところ、今でこそ、鹿の首の「生皮」を使ってはいるものの、
昔は、本当に「グチ」と言われる魚の浮き袋のみで、接着剤(糊)にしていたそうです。
さらに、昔は京都のクリーニング店で、ワイシャツを仕上げる洗濯糊に、「グチ」の浮き袋の
ニベを使っていたそうです。
残念ながら、そのクリーニング店は今はもう無いようです。
ちなみに、「グチ」の浮き袋のみで出来たニベは、鹿皮のニベと違い、サラサラしてるそうです。
(現物を見てみたいです)
↑
バケツ2杯いっぱいに入った鹿の首皮(生皮)です。
鹿皮が、フニャフニャの状態で作業しやすいように、バケツいっぱいに張った水の中に
晒して置きます。
まずは、生前の鹿の毛が残っているので、ゴシゴシと揉み洗いします。
↑
水道で水を流し、かけ流しながら、鹿皮を揉み洗いし、毛を落とします。
鹿の生皮は弾力があり、ゴムのようで、よく伸びます。
イメージとしては、居酒屋で出される「エイヒレ」や「スルメイカ」を思い出して
頂ければ幸いです。
厚さは様々で、均一ではありません。
比較的若い鹿皮は薄く、年を重ねた鹿皮は、厚みがあるとの事です。
匂いは、水で洗い流してる為か、クサイ臭いはしませんでしたが、
生皮の工場加工の段階で、漂白をされてるせいか、若干漂白剤のような香りがしました。
上記の写真の作業は、4人がかりで1時間くらいで終わりましたが、毛を落とすだけでも、
けっこう手間でした。
しかし、この洗い作業は、馬鹿に出来ず、毛が混入されていると、ニベの中に
不純物が入ることになるので、接着力に悪影響を与えます。
びっしりと、こびり付いている毛は、ハサミや切り出しで、こそぎ落としました。
次回は、
Chapter-0002「鹿皮を刻む」を、レポしたいと思います。